犬にとって「ともだち」とは?

攻撃性

私のお友達のインスタグラムなんかでは、

今日のいつもの公園でお散歩♪

た~くさんのお友達に会えて楽しそうなココアでした~♪

…と、こういう感じの投稿を見られるのがいつもの光景です。

 

さて、犬にとって「友達」って何でしょうか?そのお友達に会えて喜んでいるんでしょうか?

というのが今日のお話です。

 

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人間で言う「友達」は犬にはいない

大きな結論から先に言ってしまうと、人間が思うような「友達」は犬にはいないと言って良いでしょう。

人間の友達だと、一緒にお酒を飲んだり食事をしたりおしゃべりをしたりお出かけをしたりカラオカしたり等、わざわざ会ってまで楽しさを得られる存在のことを「友達」と言う……という定義で問題ないと思います。

この「わざわざ会う」というのがポイントで、後述する例外を除いて、犬は、家族でもなく血縁関係もない他人にわざわざ会いたいと思うことはありません。

しかるべきしつけを施され、精神的にも成熟した成犬は、そもそも別個体に興味を示さなくなります。

 

ここで犬用に「友達」の定義を「友好関係を保てる別個体」と書き換えます。

さらにその「友達」の定義を掘り下げていくと、「そばにいることを互いに許して合っている個体」ということになります。

しつけとはネガティブな感情を制御すること

「全ての動物は性悪説的行動原理を持って生まれてくる」というお話を随分前にしました。すなわち、未知の存在は「敵となり得る存在」であり「恐怖・緊張の根源」だということです。これは人間でも同じです。ママに抱っこされているとご機嫌だけど、いくら友好的であっても他人が抱っこすると泣き出す赤ちゃんというのもこれ。

ただ、人間は動物の中でもずば抜けて頭が良く、高度なコミュニケーション手法を持っているので、(上っ面ではあっても)そういう“誤解”はすぐに解けます。

犬となるとそう簡単にはいきません。犬と言う、人間に比べるとはるかにケモノ寄りの動物にとって、たとえ同族でも未知の個体は「まず、敵」なのです。

なので、ある複数の犬同士が初対面である場合、そこに強い関心が生まれるとするなら、それはほとんどがネガティブな感情です。つまり、唸って、ケンカを始めるわけです。

そして、強い関心=ネガティブな感情を抑えることがしつけであるわけですよ。

 

他の犬に無関心な犬こそ良い犬

例えば、うちで飼っていた小型犬は、よその犬を一切怖がりませんでした。ちょっとおかしいのではないかというくらいに怖がりませんでした。

どのくらいかと言うと、ある大型犬2頭が互いの飼い主にリードで強く引っ張られながら、今にも殺し合いが始まりそうな勢いで吠え合っているその間を、悠々と歩いて横断してしまうのです。そして不思議と、ケンカしているその大型犬にもまるで全く見えていないかの如く、うちの犬を無視してしまいます。

そのケンカしている大型犬のどちらか一方とうちの犬が近くにいてもケンカは起こりません。それは「友達」だからであって、互いにそばにいることを許し合える関係だからです。

その互いに許し合った関係は、人間から見ると何も面白いことはありません。熟年夫婦のように、互いに空気みたいな存在になっており、そこにアクションは起こらないからです。「わ~ココアちゃん、幸せそう♪」と言うのは大ウソなのです。

うちの犬の場合だと、初対面、あるいはその日初めて会う別の犬がいると、近づいて1~2秒匂いを嗅いで「挨拶」とし、それ以降は互いに何の干渉もしません。それが言わば犬にとっての「友達」なのです。

 

この他個体への無関心は今飼っている犬もほとんど同じで、ま~何も起こりません。血縁関係もなければ犬種も違うのに、です。ただし、今私が飼っている2匹のうちのもう一方は、兄弟であるにも関わらず、他個体への関心が強く、ケンカっ早いです。この犬は、大きくなってから引き取った個体で、人生の前半をまともなしつけもされずに育ったからです。犬の集まる公園に散歩に行って他個体と触れ合わせるという大事な習慣が若い頃になかったため、大人になってからも過敏症になっているのです。と言っても、私のもとに来てからはこれといったトラブルは起こしていません。性格はやや荒っぽいものの、平気でノーリードにできるレベルです。私がしつけをし直したので。

 

犬のケンカはなぜ起こる?

さて、犬のケンカはなぜ起こるのかというメカニズムを説明します。

当ブログで何度も書いているように、犬は不安定な存在を嫌います。問題行動を起こす犬は、飼い主が弱く不安定であることが原因です。そして、ある犬が不安定要素を持っていると、その不安定は別個体に伝播し、空気が不穏になります。

不安定要素とは、「怒りっぽい」「怖がり」「はしゃすぎる」等です。この不安定要素を別個体が感受することによって「不安定な点」が「不安定な線」となり、暴力に発展する場合がある…というのがケンカのメカニズムです。

逆に、不安定要素⇒感受、この2つの要素のうちどちらかを消し去ることができれば、ケンカが起きる確率は極端に下がります。

うちの犬の場合、不安定要素もなく、不安定要素に対する感受性も持ち合わせていないので、ケンカが起きる要件が成立しません。つまり、相手がどんな犬であろうがケンカは起きないのです。



ケンカ以外で他個体に関心を持つケース

さて、ポジティブな関心を持つケースについてお話します。

交尾の相手

ひとつは恋愛感情。つまり、交尾の相手として関心を持つというケースです。ま、当たり前ですね。

遊び相手

二つ目が「遊び相手」です。ん?それってつまり、人間で言う「友達」と同じなのでは?

確かにそうなんですが、犬の場合、その期間がかなり限られています。簡単に言えば、「幼犬同士のワンプロ」のことです。

ワンプロ自体はおっさんおばはんになってもします。しかし、それは外敵がいないという保証がある家の中で多頭飼いしているケース等でして、公園なんかでワンプロをするのは幼犬同士か、あるいは幼さが抜けない成犬です。

幼犬はいろんな物体・事象に興味を持ちますが、基本的にシングルタスクで、一つのことにしか集中できません。逆にひとつの事に集中してしまうと他のことが見えません。だから、ワンプロを始めると遠慮なく夢中になれるのです。

ところが成犬になって知恵がつくと、たとえ毎日来ている公園であっても完全にリラックスすることはありません。いつ知らない犬が来るか分からない状況で、ワンプロの相手がいたところで完全に遊ぶことに集中するということはなかなかできないのです。

ボール遊びのライバル

そして三つ目。これは二つ目の別の形と言って良いかもしれませんが、「ボール遊びをする時のライバル」です。

これは面白い現象なのですが、例えばA犬とB犬がいたとして、この2匹は互いに無関心です。そして、それぞれボール遊びをします。ところが、同じ1つのボールをこの2匹に追いかけさせると、テンションが上がるのです。マリオカートを1人でやるか、オンラインで多人数でやるかの違いです。

さらに、「ボールは追いかけないし、犬とも遊ばないけど、ボールを追いかける犬を追いかけるのが趣味の犬」というややこしいのもいます。

こういう関係はここではとりあえずポジティブなものとして扱っていますが、互いの信頼関係がないと突如ネガティブな関係になる、あるいはすでにネガティブな関係なのに気づかないということがあります。ボール遊びで深刻な怪我を負わせるほどのケンカに発展したケースをいくつも知っています。

信頼関係のある複数の犬がボールを追いかける様は楽しいものです。激しく競走するのに、いずれかの犬がボールを咥えると、それを誰も横取りしようとせず、一緒に人間のもとに帰ってくるのです。そこには犬同士でルールができているんですね。

「友達」を作りやすい犬にするには

それについては過去ログを読め、です。

 

……だとちょっと冷たすぎるので、要点を書いておきます。

要するに、自分の犬が「不安定要素がない」「不安定要素を感受しない鈍感力を持つ」ことを実現すれば良い訳で、そのためには以下のようなことを意識すべきです。

●まずは人間が堂々とし、安定した存在であることを心掛ける

●犬の前に飼い主同士が挨拶をする

●前から知らない犬が歩いてきても歩調を変えてはいけない

●(特に家に迎え入れて間もない間は)リーダーウォークを徹底する

●目的地までの途上でマーキングさせない

等ですが、「悪いことをしたら“叱ったつもり”ではなくしっかり叱る」とか「細かいイベントに規律を設ける」とか、基本的なことができていなければこれらだけを意識してもあまり意味がありません。

なのでやっぱり、過去ログ読め。

 

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