からの続き。
狂犬病ワクチンを接種することの合理性についていろいろググってたら出てきた文章。
これ、「にほんまつ動物病院」という動物病院の院長のコラムらしいのですが、トップページからリンクがないようなので、削除し忘れているのかもしれませんね。ま、検索に引っかかったので、引用させて頂きます。
島国に狂犬病はない?
世界でも、狂犬病の発生していない国・地域は、台湾、アイスランド、アイルランド、スウェーデン、ノルウェー、イギリス、オーストラリア、 ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムなどに限られます。
ほとんどは島国で、動物の移動を管理・制限することができる地域です。
つまりこれって、狂犬病ワクチンなど必要ないということの根拠になりますよね。
「狂犬病根絶に224年かかった!」←実際は6年
狂犬病ウイルスは、一旦国内に入りこむと根絶が大変であり
(日本でも1732年から1956年までの224年間に渡り苦しめられました)、ウイルスの国内への移入をいかに食い止めるか、ということがとても大切です。
「根絶しようと努力して、実際に根絶できるまでに224年かかった」と読めますね。
しかし、狂犬病予防法が公布されたのが1950年で、犬の狂犬病が最後に確認されたのは1956年。実際は、たったの6年で根絶できてしまったのです。完全なミスリードですね。
イギリスはなぜワクチン接種義務がない?
イギリスが日本同様の狂犬病清浄国でありながら、ワクチン接種が義務でないことについて。
イギリスで、その後予防注射を止めることができているのは、「検疫」がしっかり行われ、「発生したときの対処」も確立しているからです。
発生したときの対処とは、「万が一狂犬病が発生したときは、発症犬と、発症の疑わしい犬を、直ちに捕獲、隔離し、処分する」ということです。
ここは是非追加で詳しいことを書いて頂きたいところですね。
イギリスに犬を連れ込むのが面倒くさいというのは知っていますが、では日本とイギリスでは具体的にどう違うのかは、私を含めて多くの人は知らないと思います。曖昧な書き方は邪推を生んでしまうことになるでしょう。
安易に「モラル」を持ち出すな
その背景には、動物飼育に対しての、飼い主と社会全体の高い意識とモラルというものがあります。
日本の「愛犬家」のモラルが低いことには同意できますが、この脈絡で書かれると「なんか違うだろ」と思っちゃいますね。イギリスでは途中で飼育放棄する人が日本の何倍もいるって言うし。ま、本題とは関係ありません。
また、国内には、登録すらされていない犬がたくさんいて、おせじにも日本における飼い主の犬に対してのモラルは高いとは言えません。
これを愛犬家のモラルと直結させることは乱暴でしょう。それが本当に必要なことであるなら、行政はもっと真剣に取り締まって、政治家は罰則を強化するよう法改正すべきです。それをしないということは、行政だって「歩行者の信号無視」程度にしか見ていないということでしょう。飼い犬のモラルではなく、政治家と役人のモラルの問題だと思います。
で、イギリスは手本にすべきなの?
ただ、検疫をしっかりしておけば、ウイルスの侵入を100%防げるかというと、100%とは言えません。
実際、イギリスでも、狂犬病ウイルスに近い種類のリッサウイルスが侵入し、死亡者が出ています。
で、だから何だというのでしょうか。主張が曖昧でよく分からないのですが、結局「イギリスだってワクチン接種を義務付けるべきだ」ということを言いたいのでしょうかね?
そんな状況では、狂犬病が発生したときに、その地域の犬を完全に把握・管理できるかと言えば、今の時点ではできないであろうと言われています。
こういったことが問題であり、狂犬病ワクチン接種を義務付ける根拠なのだとしたら、この問題を解決する手段を講じれば良いわけですよね。
獣医さんなら科学的に答えて
ワクチン接種、日本が1年に1回なのに対してアメリカが3年に1回の理由について。
なぜ1年に一度のタイプしか日本では認可されていないのか、と聞かれても、一般の臨床医にとっては何とも言えないところです。
いやいや、行政のやることが分からなくても、獣医さんなら使われてるワクチンが同じなのか違うものなのかくらいは知っているのでは?1回打ったら実際に効果がどのくらいあるのかの説明だってあってしかるべきでしょう。他のサイトにはありましたよ?
日本の犬とアメリカの犬は違うだってーっ!?
もうひとつの大きな理由は、日本に狂犬病が発生したとしたら、間違いなく犬が最も感染経路の“鍵”となる動物になるが、アメリカでは、“鍵”となる動物は、犬ではない、ということです。
え?これは全く分からない。
「鍵」というのが、犬とその他の動物の相対的な話であるとするなら、ワクチン接種とは何の関係もないはずですよね。それとも、日本の犬とアメリカの犬は違うということ?え?え?
今分かっているのは、日本には一切の狂犬病病原体は存在しないけど、アメリカには森林に病原体を保有する動物がいる、ということ。これの何がどうなって「アメリカの狂犬病ワクチン接種は3年に1回で良い」ということに繋がるんでしょうか。
日本は「都市型」狂犬病???
狂犬病の発生のタイプには2つあります。
ひとつはインドや中国などの「都市型」、もうひとつはヨーロッパやアメリカなどの「森林型」です。
都市型とは、人口過密な地域の中に、ウイルスを保有した犬が徘徊していて、頻繁に人間への咬傷を引き起こして、人へウイルスを伝搬させている状態です。
日本のような人口過密地帯では、最も恐ろしいのは都市型の流行であり、犬はそこにおける感染の“鍵”です。
ということは、この先生は、犬が徘徊しているという珍しい光景を頻繁に目にしているわけですね。何県のお話でしょうか?
私が子供の頃の昭和後期でさえ、野良犬を頻繁に見るということはなく、校庭に犬が入ってきたら「祭」状態でした。
故意なのか天然なのか分かりませんが、中国や東南アジアのような、野良犬が普通に徘徊しているという光景が文化になってしまっている国とそうでない国の区別がついていないのですね。
狂犬病でSARS以上の大パニックですってーっ!?
いったん国内で狂犬病が発症したとしたら、間違いなく、SARDSや鳥インフルエンザどころではない大パニックが引き起こされます。
(原文ママ)
SARSや鳥インフルエンザや今の新型コロナウィルスが人々をパニックに陥れるのは、「いつどのように感染するか分からない」からです。
国内で狂犬病感染個体が発覚したところで、犬に関して言えばそのルート捕捉は極めて容易だし、その時点でワクチンを打てば良いだけです。そしてワクチンを打つまでは他の犬と接触させないようにする。
野犬がほぼ絶滅状態にある日本ではこれをやるだけで狂犬病など簡単に駆逐できるだろうし、万が一犬以外に感染して定着したとしたら、それは狂犬病ワクチンとは関係ない話でしょう。
根拠なく国民を不安に陥れて自分の都合の良いようにコントロールしようとする。
極めて悪質な言説だとしか言いようがありません。
リスク管理の問題は、常にトップダウンで行われるべきです。
と思うのであれば、政治家と行政に圧力をかけましょうね。あ、もうかけてるんでしたっけ?
え?「野良犬」と「飼い犬」の区別って要らないんですか?
WHOの勧告では、社会の犬の70%以上に予防接種がなされていないと、ウイルスが入り込んだときに流行を抑えることができない、とされています。
これよく目にする文言ですが、眉毛にしっかり唾を塗りこんで読みましょうね。
「社会の犬」って何のことでしょうか。「街中をウロウロしている野犬」と「特定の飼い主がいる飼い犬」を区別していない時点で、非常に疑わしいものです。
狂犬病の感染プロセスから考えて、この70%という数値の想定は、
「多数の犬が無秩序に移動でき状況においての実効再生産数を1未満に抑えるための接種率」
でしょうね。
加計学園問題の際に、すっごいバカでも獣医になれるケースがあると、獣医自身が告白していましたが、「野犬」と「飼い犬」の区別が要らないと本気で思っているのでしょうか。あるいは、野犬と飼い犬では感染の度合いが違うと思い込んでいる私の方がすっごいバカなのでしょうか。
私の認識の方が正しいとして、検索で引っかかる情報サイトは、なぜこのようなアバウトな書き方しかしないものばかりが出てくるのでしょうか。
もし獣医や専門家に十分な知的レベルが備わっていて、あえてこういう書き方をしているとなると……むむむ、なにか特別な目論見が見えてきそうな……。
その300億円、別の用途に使ったら?
さて、今日本で飼育されている犬が全頭、狂犬病ワクチンを接種したとしたら、その出費の合計は300億円を超えます。
その300億円、必要があるかどうかも分からないワクチン接種の為ではなく、ペット税として召し上げて、犬の登録制度や検疫が不完全ならそこに追加して強化した方が良いんじゃないですか?あるいは殺処分候補の犬を救うために使ったりした方が犬のためになりませんかね?
あ、そもそも犬のためじゃないんでしたっけ?
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