狂犬病ワクチン接種率が低いのは問題なの？
狂犬病の接種率が７割で大変だー！とのこと。
その７割も登録されている個体を分母にしているので、実際は４割程度まで低下すると考えられ、余計に深刻だって話です。
さて、では狂犬病のどこが一体それほど怖いのでしょうか。ひとつひとつ考察してみましょう。
人間が狂犬病の犬に咬まれたら致死率１００％！！
いいえ、ほとんどの場合助かります。
これ言う人多いんですが、「咬まれたら１００％死ぬ」のではなく「発症したらほぼ１００％死ぬ」のです。
人間の場合、狂犬病は潜伏期間が非常に長いので、発症するまでに適切な処置を施せばほとんどの場合助かります。
世界では毎年５万人以上死んでいる！
日本では全く死んでいません。
狂犬病流行地域と、狂犬病清浄国である現代日本では、あまりに条件が違い過ぎます。
こんなことを根拠に「予防接種をしろ」と言うのは、「ヒマラヤで酸欠で死んだ人がいるから日本人も皆酸素ボンベをしろ」と言ってるようなものです。
日本では被害が出ていないのに、根拠もなく世界を見て「これだけの被害があるんだから」というのであれば、狂犬病の前に、毎年３０万人以上が亡くなっているマラリアでしょう。しかもマラリアは感染ルートの捕捉が極めて困難な蚊が媒介する病気です。物流の発達と気候変動でそれこそいつ日本で流行するか分かりません。
それでも専門家は「マラリアが日本で流行する可能性は低い」と言いますが、狂犬病よりははるかに高い。
さあ、早くマラリアのワクチン打ちましょうよ！さあ、早く！
私は打ちませんけど。
日本だっていつまた狂犬病が発生するか分からない！
と言われ続けてウン十年。
動物の出入りに関してはどんどん規制が厳しくなり、犬猫その他もろもろの動物はいわゆる検疫という関門があり、その他の動物に関しても原則として国をまたいだ移動はできなくなっており、事情がある場合にのみ衛生検査をした上でOKとなっています。
基本的に哺乳類のみがかかる病気で、渡り鳥も、貨物に紛れるヒアリのような昆虫も心配いりません。
アフリカトビネズミや小型哺乳類の赤ちゃんを密輸できたとしても、それに噛まれる心配は犬より圧倒的に人間の方がするべきでしょう。
狂犬病が確認されたら日本はパニックになる！
なりません。
狂犬病は空気感染も接触感染もしません。
無秩序にウィルスを媒介する野犬も日本ではほぼ絶滅状態です。
仮に国内で１匹目の狂犬病感染個体が確認されたら、その時点でワクチンを打てば良いし、ワクチンが打てない間はよその犬と接触させないようにすれば良いだけのことです。
狂犬病の被害の大きい地域はいずれも当たり前のように野犬がいることが原因なのです。
今の新型コロナで世界がパニックになっているのは（日本に限って言うとパニックになるのはおかしな話なんですが）、いつ感染したかが分からないからです。
一方の狂犬病は非常に明確で、ソーシャルディスタンスもマスクも必要ありません。もし狂犬病を発症したら、ほぼ間違いなく感染ルートが特定できるのです。
それでも最初の１匹は死んじゃうじゃん！
その前に狂犬病ワクチンの副作用で死ぬ犬がいるっつーの。
狂犬病ワクチン推進派の獣医が提示した副反応による死亡率でさえ、それを日本で飼育されている全頭数に接種したとすると、毎年４０匹前後の犬が死ぬ計算になります。接種率が４割程度だとすれば、それでも１０匹前後は毎年死んでる訳ですね。
もっとも、これは戸籍もなければ人権もない犬とその医療現場の話で、この統計がどれほどあてになるかも分かりません。どれだけ少なく見積もってもこれだけの犬が死んでいる、あるいは死ぬことになるということなんです。
我々が薬や何かしらの治療を施される際、常にその副作用・副反応のリスクを負うことになります。
例えばCTスキャンを受けようと思えば、造影剤を打たれるし、造影剤を打たれる際は、「１０万人に何人かは重篤な副作用がウンタラカンタラ～」と怖いことが書かれた書類にサインしなければいけません。
それを甘受するのは、そのリスクより大きなメリットがあるからです。
さて、狂犬病は？
そもそも日本に病原体がないのに、そのワクチンだけは接種させられる。
過去６０年以上狂犬病で死んだ犬は１匹もいないのに、そのワクチンで少なくとも数百匹（ひょっとしたら桁が１つか２つあがる）の犬が死んでいる、あるいは死ぬことになるのです。
狂犬病が駆逐できたのにワクチンを打つ意味は？
そもそも狂犬病ワクチン接種が義務付けられのは、狂犬病の駆逐が目的だったはずで、その第一の手段は「野犬狩り」でした。一般には「犬獲り」と言われた、行政による野良犬の駆除です。
狂犬病ワクチン接種義務の法律ができたのは昭和２５年。終戦間もなく、まだ日本にGHQがいて独立すらしていなかったおとぎ話ほどの大昔です。
当時は野犬が普通にいて、群れを成して人間の生活区域を徘徊していました。野犬は食料を自分で獲得するしかなく、当然ながら凶暴です。そりゃ狂犬病みたいな感染症は、野犬がウロウロしている環境では駆逐できないでしょう。
そしてこの野犬狩りは見事に成功。あっという間に狂犬病は駆逐されました。なんせ空気感染や単に接触するだけでは感染せず、媒体が非常に分かりやすい感染症ですからね。
そして、同時に飼い犬にもワクチン接種することで、完全な駆逐が完遂されたわけです。
さて……それ以降に、つまり病原体がない環境でワクチンを接種し続ける意味って、一体何なんでしょうか？
狂犬病ワクチン接種は法的な義務だ！
あっぱれな順法精神です。
これを「悪法も法」という理念で言ってるならまだよろしい。
日本人の良くないのは、「法は正しい」という大前提で洗脳されている人が多い事。たとえその法が、利権団体からの賄賂で政治家が守り続けているものだとしても。……あ、別に獣医師会がゴニョゴニョやってるなんて一言も言ってませんからね。あくまで一般論としてそんなこともあるかもよって話です。
陰口のように権力への不満は呟くけど、それを変えようとすると尻込みする。
「法律で決まってるから」
「みんなやってるから」
「昔からやってるから」
権力への従順さと同調圧力で、合理的に物事を考えることができない民族なのですよ。
法律が無条件に正しいのであれば、「立法府」なんて必要ないのです。合理性に欠ける法律は見直し、必要がなければ改正し、別に必要なものがあれば新しい法を作る。それが立法府の仕事であり、その議員を選ぶのは我々国民なんです。
なぜ猫へのワクチン接種は義務化されない？
おかしな話ですよね。
野犬がたくさんいた頃にできた法律を、野犬がほぼ絶滅した今でも後生大事に守っているんですから。
それでも危ない！と言うのであれば、犬の前に猫のはずなんですよ。
もし今の日本で狂犬病が入ってきて、ある程度流行の兆しが見えたとするなら、野良がたくさんいて人間との接触機会も十分にある猫こそ警戒すべきなのに、誰も「猫に狂犬病ワクチンを！」とは言わないんです。
なぜなら、それは、
法律で決まってないからです！！
そして、
皆がやってないからです！！
情弱のお行儀の良い日本人にとって、法こそ正義であり、同調こそ絶対の行動原理であり、昔からやっていることは無条件に「守るべき文化」なのです。
空気を読まずに「王様は裸だ！」などと大声を出すガキは蹴り飛ばされ、「回っているのは太陽じゃなくて地球の方だ」と唱える学者は気違い扱いされるのです。
私だって「狂犬病予防接種が要らないとか言ってたヤバいヤツ」とレッテルを貼られることになるのです。
もし私が獣医なら…
「顧客」が２００人いたとして、その全てが狂犬病ワクチンをうちで打ってくれたら、仕入れ３００円の売値３０００円だから、２７００円×２００＝儲け５４万円。これでもかなりのボーナスですが、大事なのはそこではありません。
動物病院経営者にとっては、病院に通うという習慣こそが大事なのです。
狂犬病ワクチン目的で行っても、
「最近検診はしましたか？」
「気になるほどではないけど心音に雑音が混ざってますね」
「歯石がだいぶん溜まってますけど、歯磨きされてます？」
「耳の内側に軽いかぶれがありますね。フードって何あげてますか？イヤークリーニングしてますか？」
次の売り上げに繋げることができます。
狂犬病ワクチンはすでに信仰になっている
「犬ではなく人を守るため！」ならなぜ人間にワクチン接種しないんでしょうか？
哺乳類全般がかかる病気で、しかも今日、感染媒体となり得る“野良”は犬よりも猫なのに、なぜ猫には打たなくていいのでしょうか？
ハムスターは？フェレットは？
狂犬病の何倍も人が死んでるマラリアは？
そんなことはどうでも良いのです。
バレンタインデーには女性から男性にチョコレートを贈るもの。バレンタインの起源や、日本では神戸の洋菓子屋が「チョコレートをプレゼントしろ」というキャンペーンを打ったことなどどーでも良いのと同様、狂犬病ワクチンを接種する理由もどーでも良いのです。
「それが正しい日本人、正しい愛犬家の姿勢である」と規定してしまい、それに従わない人は反道徳的な異端であるとして攻撃する。これによって思想的秩序を保つのが日本人なのです。
科学的的観点から見れば、それは「信仰」なのですが、当の彼らは自分たちこそが科学的であり、それに反発する者こそ、～反ワクチン主義などを引き合いに出して～特殊な信仰を持っていると「魔女」扱いするわけですよ。
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