甘噛みが痛すぎる!どうすればいい?
当ブログのこの記事にご質問を頂きました。今回は、このご質問に回答させて頂きます。
質問者はちまきさんという生後3ヶ月目のコーギーの飼い主さん。質問要旨は、
●犬の甘噛みが強すぎて痛い。
●よく聞かれる「甘噛みをやめさせる方法」を試みてもうまくいかない
●辿り着いたのがこのブログで「甘噛みをやめさせないしつけ方法」を詳しく教えてほしい
といった感じです。
しかしまあ、犬のしつけ方法を探してよくもこんな場末のブログにまで辿り着いたものですね。何か運命のようなものを感じます。
さて、まずしつけとは直接関係のないところですが、
まだワクチンを完全に終えておらず、散歩デビューは3月半ばを予定しております。
とのことですが、1月初旬で3ヶ月目ということは、3月半ばだと6ヶ月に届くかどうかというあたりですね。普通にワクチンを接種すれば生後4ヶ月までに散歩には出せると思うのですが、どうなんでしょう。以前にも当ブログで書いたのですが、生後3ヶ月~6ヶ月というのもしつけには重要でして、できるだけ早めに他の個体と交流させた方が良いと思います。
迎えて1ヶ月ぐらいの時は、噛ませるのは良くない!とのことだったので
これについては根拠が分かりません。これを教えてくれた人からすると、逆に2ヶ月目に入ると噛ませるのもOKなんでしょうかね?
どうしたら良いのか、いろいろ調べても「無視をする」「ダメと叱る」と出てくるだけでどれをしてもコーギーにはひびいているかんじがしません。
これは当然ですね。生後3ヶ月“目”ということは、まだ3ヶ月に達していないということですよね。そんな月齢の犬にまともな知性は備わっておらず、まだ経験からあれこれ学習することができません。
不思議と顔は噛まない
ではここから私なりに改善案をご提示致します。
先に参考文献として、当ブログの過去記事を。
まず、激しい甘噛みの最中、犬の顔に飼い主さんの顔を近づけるとどうなるでしょうか。
ほとんどの場合、物凄いボルテージが上がっていても、顔だけは噛まないはずです。どういうわけか、子犬でもこの分別はあるんですよね。逆に、顔も噛もうとするならちょっと問題かもしれませんが、とりあえず顔は噛まないという前提で。
このことは、幼犬は幼犬なりに、噛んで良いとこ/悪いとこを区別しているということで、これ発展的に学習させてやれば良いわけです。
痛いなら装備を
過去の投稿でも書きましたが、甘噛みとは言え、犬の歯は痛いもの。でも我慢するのが飼い主の使命です。
しかし、その度合いがやや過ぎてしまうこともあります。ちまきさんの犬はコーギーとのこと。コーギーは本来牧羊犬なのですが、その牧羊コントロールの方法はコリー系とは違って、羊の踵に噛みついて走らせようとします。他犬種との相性にやや難があるのも、他の犬がコーギーのこういう本能を感じ取っているからでしょう。とすると、噛もうとする本能も強いはずで、幼犬でも他犬種より力が強いという可能性もあります。
この対処法はシンプルなもので、人間側が手の防御力を高めれば良いわけです。
私なら、(基本的に素手なのですが)犬に噛ませても良いボロボロのパーカーを用意していて、これを散歩の時にも着ていました。よその犬にも噛ませるためです。
そんなパーカー程度では!という場合、以前にも紹介した、
「噛みつき防止手袋」のようなアイテムを使うのが良いでしょう。「噛みつき防止」と謳っていますが、これって正確には「噛みつかれても大丈夫」というだけですよね。
ただ、出血でもしない限り、ここまでのアイテムを使うことをあまり積極的にお勧めはしません。私はこの手の(すみません、「手」という単語がいっぱい出てきて)アイテムを使ったことがないので使用感も分からないのですが、恐らくは感覚が鈍くなるはずです。犬vs人のプロレスにおいては、微妙な噛み具合のコントロールが重要になってきます。なので、できるだけ「生」に近い状態で噛ませてやるのが理想です。
そもそも強く噛ませないようにするのが大事
甘噛みをさせる目的は何かというと、単に「噛みたいものを噛ませてストレス解消させる」のではなく、「運動をしながら相手の感情を読み取って行動を変えるコミュ力の育成」にあります。
プロレスは犬にとっても「ごっこ遊び」でしかなく、だったら「ここまでがごっこ遊びの範囲だよ」という加減を教えてやらないといけません。つまり、強すぎたらそのサインを送ってやらないといけないわけです。
具体的には、痛いくらいに、あるいは怪我しそうなほどの強さで噛んできた場合、大きな声で「痛い!」と叫ぶなどそれなりのリアクションを見せることです。それでもやめないなら、首根っこを掴んで抑えつけます。その際に、耳元や頬をぎゅっと掴んで痛みを与えましょう。
虐待!?
とんでもない!これ、犬同士がやっていることですよ。
ごっこ遊びなのにその加減が分からない。その時、相手方の犬は、少し本気で怒って「それはあかんやろ」というサインを送ります。その繰り返しで、幼犬は加減を覚えていくのですよ。
ロープを使うのはアリか?
こういう相談があると、いかにも犬のトレーナーぶった人が「手ではなくロープなど玩具を噛ませましょう」と回答することが多いのですが、これは違います。
いや、ロープを噛ませて遊ぶことそのものはいいんですよ。でも、ロープ遊びはプロレスの代わりにはならないのです。
ロープ遊びは、犬の「運動したい」「遊びたい」という欲求に応じることはできます。しかし、コミュ力の育成にはなりません。単なるストレス解消でしかないわけです。
実は教えるのが難しい正しいプロレスのやり方
当ブログでは常々「犬にはどんどん甘噛みさせろ」と主張し、その甘噛み(プロレス)の方法についても幾度となく解説してきましたが、実はこれ、難しいんですよ。言葉だけではなかなか伝わらないのです。
その根本的な原因は何かというと、犬とのプロレスの正しいやり方は多分に感覚に依存するというところにあるのです。
これ言っちゃうと身も蓋もないのですが、私は根っからの犬好きなので、その感覚が分かるんです。「犬好き」を自称する人はいくらでもいますが、ハッキリ言うと、ステージが違います。たいていの「犬好き」さんは、犬のことを「可愛い」と思っていると思いますが、私にとって犬は「面白い」存在です。
……てな書き方だけだといかにも観念的で話が見えてこないと思います。これを何とか感覚で分かって頂くために、犬と遊ぶ時の方法をイラストに描いてみました。
まずはフツーの飼い主さん。
あ、絵が気持ち悪いなんていうクレームは受け付けません。私の画力の限界がこれなんです。多分だ丈夫だとは思いますが、念のために断っておくと、左側が人間です。
さて、次に私の場合。
この2つの図が、最も分かりやすいかと思います。
最初の図は「犬と遊んでやっている人間」ですが、2つ目の図は「犬を憑依させて犬と遊んでいるおじさん」なのですよ。
プロレスは「感覚」を身につけるべし
私の犬のしつけ論は、お行儀の良いしつけ論者からはやれ「上から目線」だのやれ「犬が可哀想」だのと批判されがちですが、さて、本当の上から目線はどちらでしょうか?「犬の目線になって」だの「犬は可愛い」だの「犬が可哀想」だのと軽々しく口にするトレーナーに限って、犬の本能を理解していないものです。私のように、本当に犬の目線になってしまえば、「甘噛みをやめさせろ」だの「代わりにロープを使え」だのという発想はなくなります。
当ブログでも「プロレスは手を使え」とは書いておりますが、それは【最前線】の話であって、基本的には、相手がチワワの幼犬であっても、全身を使います。
それは当然の話で、犬のプロレスをするのですから、人間側が犬になりきらなくてはなりません。「説明が難しい」「簡単にメソッド化できない」のは、飼い主がこの感覚に共感することがなかなかできないからです。
とりあえず、過去記事で、既存動画の中ではこれが最も理想的という動画を紹介していますので、ご参考にして頂ければ。
楽しいからやる!
動画を上げれば早いのですが、私は身バレしたくないので公開はしません。でも実際プロレスをやってる姿を見せたら結構驚かれると思います。その光景は「しつけ論」なんてスマートなものとは真逆で、野蛮(野性的)で激しくて泥臭いものだからです。
犬を「可愛い」で飼い始めた人にとって、それは「義務」なのかもしれませんが、私のような生粋の犬好きにとっては「趣味」であり「やらずにいられない衝動」であり「プレイ」です。「しなければいけない」からするのではなく、「楽しいから」しているのです。
どうでしょう。これを教える難しさが少し理解して頂けたでしょうか。例えば、ゴルフが好きでたまらない人が、ゴルフに全く興味のない人にスイングを教えるようなものです。ゴルフを教えるなら、教えられる側には最低限ゴルフへの興味が必要であって、興味もないのに教えられたところで身につくはずがありません。
ここが犬については少しややこしくて、少なくとも犬を飼う人は【犬が好きで自分の意思で飼い始めた】というところまではほとんど共通しているはずなんです。ところがそこを掘り下げて「犬との理想的な生活」となると、実は基本的な理念において、私なんかとは齟齬が生じる箇所があるわけですよ。
まとめ
●痛いのは(アイテムを使って)我慢
●「甘噛みさせる」はつまり「プロレスをする」ということ
●そのプロレスは飼い主が主導権を握り、要所要所で「力によって制圧する」のが吉
●プロレスを「楽しむ」という感覚を持とう
……と、こんなところで回答になったでしょうか。
実は最近、「問題のある甘噛みをする大型犬の幼犬」の話を書こうとしていたところです。
後日、投稿します。
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