ジャッキー・チェン『スキップトレース』
子供の頃からの大のジャッキーファンだったくせに、最近の映画はTSUTAYAに出てきてもなかなか借りない私なのです。
『スキップトレース』はすでに２年半も前の作品ですが、Amazonプライムに並んでたので観ました。
監督がレニー・ハーリンというのがちょっと驚きましたが、よく考えたら名前はよく知ってるけど『ダイハード２』と『クリフハンガー』以外観たことありません。なんちゅーか、大ヒットした映画のおこぼれに預かるタイプのアクション系監督…って言うと失礼かもしれませんが、そんな印象です。
これ、面白いぞ
さて、スキップトレースなんですが、いやいやなんのなんの、これ面白かったですよ。
《あらすじ》
内容は、昔相棒を殺された事件を追っていた香港の刑事ベニー（ジャッキー）が、捜査の途中でヘタこいて停職処分に。同時に、殺された相棒から預かって幼女にしていたサマンサが犯罪に巻き込まれて、彼女を救うべくコナーという詐欺師を追っかけて捕まえるが、結局２人とも追われる立場になり、仲良く逃げるというお話。
私の大好きなロバート・デ・ニーロの『ミッドナイトラン』を思い出しますが、あんなにおしゃれな映画ではなく、もっとバカっぽいドタバタバディーコメディーです。まあ、ハリウッド進出後のジャッキーと言えば、『シャンハイ』シリーズや『ラッシュアワー』シリーズなどバディーもののイメージがこびり付いてますね。
相方役のコナーはジョニー・ノックスビル。観たことはあるんでしょうが、知りませんでした。
「ジャッキー、老いたな」というどうでもいい感想
ネットでこの映画の感想を見てみると「ジャッキー老いたな」「ポリスストーリーみたいな映画はもう観れないのか」といった愚にもつかないものが目立ちます。
いやいや、じゃあアンタらは『メダリオン』が面白かったのか？『ライジングドラゴン』みたいな作品をもう一度観たいのか？
ジャッキーが劣化してる？当たり前やないか、還暦過ぎとるんやぞ！！
そもそも、私の世代のファンから言わせると、『アクシデンタルスパイ』あたりでジャッキー映画は一区切り付いているわけで、それまでとそれ以降を同じ目で見ようとするのが間違ってるんですよ。
ジャッキーアクションを分析してみよう
さて、かつてのジャッキー映画の特色をアクション面から３つの要素に分けてみます。
（１）格闘
（２）スタント
（３）プロップアクション
（１）は言うまでもありませんね。ウォン・インシック、ベニー・ユキーデ、ディック・ウェイ等々様々な個性を持つ“ボス”と戦ってきました。そのあまりにかっこいい格闘シーンは我々団塊ジュニア世代の網膜に焼き付いています。
（２）時計台からの落下、照明ポールの滑り落ち、ヘリコプターぶら下がり、高層ビル斜面からの滑り落ちなどなど。「なんでこれで生きてられるのか」というスタントの数々。
（３）今私が適当に名付けたのですが、小道具を使ったアクションです。（２）と重なるのですが、ジャッキーのアクションと言えば、とにかく道具を使うのが特色です。古くは『酔拳』のおかずの取り合い、『ヤングマスター』の扇子、長椅子。そして脚立やバット、自転車、等々何から何まで小道具をアクションにギミックに変えてしまいます。本当は小道具だけではないのですが、うまいネーミングが見つかりません。
ちなみに、ブルース・リーなんかは（１）だけを追求したアクションスターです。
で、『スキップトレース』はと言うと、（１）は（２）は年齢に相応しく大したものはありません。が、（３）はかなり楽しめるレベルで織り込まれています。なるほど、あまり身体能力を問われないアクションはこんな感じでまだ活かされるのかと。
いや、言っておきますが、（１）（２）もまだ十分に楽しめるレベルですよ。というか、２０年以上前の作品である『ラッシュアワー』や『シャンハイヌーン』と大した差はありません。
ジャッキー継承者問題
深刻な問題は、こういった所謂「ジャッキーアクション」の継承者がいないってことなんですよね。この映画のスタッフを見てみても、「製作」にジャッキー・チェンの名があり、武術指導など特にアクション専門のスタッフが見当たりませんから、アクションコーディネートもジャッキー自身が行っていると思われます。つまり、いまだにこれらのアクションの組み立てと実演をジャッキー１人がやっていて、かつジャッキーしかできないわけです。
となると気になるのが、ジャッキーが「演者」から引退した時にちゃんと後を継いでくれる人作っといてよね、ってことです。
おまけとして、どうでもいいことですが、映画に出てるファン・ビンビンをこの作品で初めて見ました。
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