オリラジ中田の『Youtube大学』が面白くない
今は良い時代で、塾に行かずともタダで授業をしてくれるユーチューバーがたくさんいるんですよね。これを利用しない手はありません。
そんなYoutube教材をいろいろ漁ってたら、まだ今ほど話題になるちょっと前のオリエンタルラジオ中田敦彦の『Youtube大学』に辿り着いたんですよ。
芸人としては嫌いだけど、『しくじり先生』なんかの実績からきっと分かりやすい講義をしてくれるんだろうと期待して観てみたら、これが大きく期待外れ。
何がダメか。
ビジュアル的にダメ
この番組は基本的にホワイトボードにあらかじめびっしり手書きで書き込まれたテキストだけが補助資料になります。
イラストや動画、フリップさえ使いません。
これ、ある程度知識がある人向けであって、子供にはまったく頭に入ってこないんですよ。
喋り方がダメ
ずっと怒鳴ってるだけでうるさいんです。何がポイントかも分かりにくい。大きな声を出すこと=分かりやすい、という勘違いですね。
台本がダメ
基本的に1冊の書籍からのコピペを並べているだけのようです。
中田本人が咀嚼・消化しておらず、それをYoutube用の台本に書き直してくれる放送作家もいないようで、これも頭に入ってきません。
台本が全く練られておらず、プロの仕事とは言い難いレベルです。
『岡田斗司夫ゼミ』がなぜ優れているか
ニコニコ生放送『岡田斗司夫ゼミ』というのがありまして、これが半分無料、半分が有料会員しか視聴できないようになってるんですね。
私はこれの「有料会員」でして、初回から1回も欠かさず観ているんですが、毎月550円を払ってでも観たいから払ってるんですよ。当たり前ですね。
テーマは、オタキングらしくジブリアニメを主体としたアニメ・マンガ、特にSFの絡んだ映画、宇宙工学主体、お笑い、ゲーム、その他社会学。
無料放送はYoutubeにも投稿されているので、興味があればどうぞ。
この岡田斗司夫ゼミの面白さというのは、岡田斗司夫氏の常人を圧倒する知性によるものです。
番組中では参考資料として、あるいは書籍紹介そのものを目的として数多くの書籍が登場しますが、ただのコピペではないんです。
引用した上で、「つまりこれはどういうことか」という岡田氏独自の知性による加工が施されて視聴者に分かりやすく伝えられます。
その本そのものに対する興味はもちろんですが、ファンは「岡田はどう見るか」の方に主眼が行くんですよ。私もこの番組で紹介された書籍は私も何冊か買っています。
この週に1回の放送のために岡田氏は全てを賭けているようで、資料(フリップ)作りにも放送そのものにも、物凄い脳のリソースを消費してヘトヘトになると言います。
そんな岡田氏はイメージ通り、とてつもない読書家で、その読書法は、片っ端から本を買いまくるけど読まない本もたくさんある、と。
要するに、ドローンを飛ばしてあらましを偵察した上で興味のあるところだけどんどん読んでいき、興味の湧き方によっては熟読するという感じでしょうかね。
知識の得方がそんな感じなので、常に高い高い神目線の客観視点から物事を分析できるのだと思います。
つまり、深い知識もあるし、その前に広い知識も持っているんです。
その知識の広さと深さは、紹介する書籍の直接的な情報ではなく、関連知識によく表れています。
「ここ読んで思い出したのがですね…」ってな感じで紹介される、過去の別の本や書籍以外からのコンテンツが「そんなものがあったのか」みたいなものばかり。持っている情報の絶対量がえげつないんですよ。
一方、オリラジ中田は……
で、おそらくですが、中田は岡田斗司夫ゼミを参考にしているのだと思います。
が、岡田氏が「興味を持ったことについて、自然と湧き上がる物凄い熱量で解説する」のに対し、(あくまで私の想像ですが)中田は決め打ち。
自分が好きそうな人の本を最初から放送用の目的として読み、コピペ的な「解説」をする。解説者本人の知性による裏付けがないものだから、フェイク騒動が生じる。客観的視点を持たないから、偏りを指摘される。
…というわけです。
言い換えると、「これってこんなに面白いんだぞ!」という岡田氏に対して、中田は「俺はこの人を支持している!」という表明にすぎないんです。
政治思想が見えてしまうと、それはもはや解説たりえません。
いや、特定の政治思想があるならそれを突き詰めたらまだ見応えもあるでしょう。しかし中田はその点でも中途半端で、まずはビジネスというのが見えてしまうので余計に冷めちゃうんですよ。
オリラジ中田、カッコ悪い
そもそも、笑いのカリスマにケンカを売っておいて、自分がやることと言えば笑いなしの教養系コンテンツ、しかもコピペ。なんとカッコ悪いことか。
今はテレビを干されてもYoutubeがあるし、トップユーチューバーはタレント界のトップに肩を並べるほどの収入がある。やってることと言えば「〇〇を〇〇万円分買ってみた」なんてユルユルのものや映画や書籍紹介。B級タレントであっても有名でさえあれば視聴者は付く。これイイネ!と。
テレビから干されたんじゃなくて、「自らセーブした」ことにする。「事務所やスポンサーにしばられず、自分のやりたいことをやる」って、その実態はただのコピペを大きな声で喋ってるだけ。こういうのを(ダチョウ倶楽部とは違う意味での)ヨゴレ芸人と言うのです。
Youtubeはハンパ芸人のパラダイスであり墓場
Youtubeはそんなハンパ芸人にとってはパラダイスです。ただ有名というだけで視聴者がわんさか集まってきてくれますし、テレビなんかに出ているよりはるかに高収入を得られることは、NHKから国民を守る党・立花孝志氏がその収入を公表していることからもよく分かります。
余談ですが、ヨゴレと言えば、「カジサック」ことキングコング梶原のYoutubeチャンネルも絶好調のようですね。「〇〇やってみた」と、プロのプライドを捨てて素人であるはずのHIKAKINをパクり、タレントパワーで登録者を増やす。「お、これは儲かるな」と勘づいた吉本興業がバックアップを始め、コラボタレントを調達。別のタレントが出演する放送回は100万再生を連発。当初の、いかにもユーチューバーらしい内容なんてもうどうでも良くなってる感じですね。
……と、芸人論になってしまいましたが、元々この話は教育カテゴリとして当ブログ本館向けに書き始めたものだったんですがね。枕の部分はエンタメ館ってことで。
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