レトロゲーム界隈で、ひろゆきのファミコン論が話題になりました。
何というか、これだけ頭から尻尾まで間違いだらけというのも珍しいというくらいツッコミどころがあるので、当ブログで取り上げます。
「宮本茂さんは超優秀」
違います。「超優秀」なのではなく「天才」なのです。
ひろゆきのこと、別に嫌いではないんですが、人のことを評価する時に「優秀」って言葉を多用しますよね。だから何だって言われても困りますが、こういう時に「天才」と言う言葉を使わなければいつ使うんだってくらい、宮本茂は世界に誇れる天才なのですよ。
「昔のファミコンは十字キーを全部押せた」
私の知る限り、任天堂公式ハードとしてのファミコンで「十字キーがゴムが出来ていて4方向同時に押せた」という代物はなかったはずです。AボタンBボタンは初期バージョンではゴム製でしたが。
ひょっとしたら後に発売されたよそのメーカーの「ファミコン互換機」と勘違いされているのかと。
仮にそんなファミコンがあったとして、「4つ押せるのはクソ」と言うのも全くおかしな話で、だったらプレステのコントローラーはクソだったのか?ってことになりますが、そんなことありませんでしたよね。
あの十字キー、元々はゲーム&ウォッチの『ドンキーコング』で開発されたもので、上下左右の移動を、コントローラー(ゲーム&ウォッチ本体)を握った状態で、親指1本で実現できたというのが大発明だったわけですよ。「どれか一方向しか押せない」というのはかなりどうでも良い話です。
マリオは悪役としてデビューした
はい、マリオが悪役と言うのは『ドンキーコングJr』のことですね。しかしその前に『ドンキーコング』がありまして、そこでマリオは主役としてデビューしております。ま、基礎教養の範疇ですが。
「ファミコンのCPUはZ80」
なんでわざわざ固有名詞まで出して間違うのでしょうかね。Z80というのは当時のベストセラー8ビットCPUで、まだ「マイコン」とも呼ばれていたパソコンの多くの機種に採用されていました。
一方のファミコンは、元々AppleII等で使われていたCPUをファミコン用にカスタマイズしたもの。細かい技術面の話は私にもよく分かりませんが、ベースはアリものではあったものの、カスタマイズによってゲームに特化された、相当優秀なCPUだったと思われます。
ちなみに同CPUは後にNECのPCエンジンにも採用されるのですが、クロック周波数(計算速度)が4倍になっています。
「ファミコンはボタン入力をスムーズにするのは大変で…」
ファミコンソフト『カラテカ』を例示して、「ファミコンというハードではボタン入力をスムーズに処理するのは大変だった」ってなことを言っていますが、とんでもない話です。
当時、ファミコンよりも性能の劣るMSXというパソコンで、BASICという処理速度がめちゃくちゃ遅い初心者用プログラミング言語でゲームを作ったりしていましたが、それでも即応性(反応の良さ)は十分確保できました。
『カラテカ』は、単純に【そういうゲーム】なのであって、ハードの問題ではなくソフトの問題だったのです。
ファミコンと宮本茂について
ファミコンが当時に水準で言えばモンスターマシンだったことは間違いありませんし、そのことが爆発的ヒットの大きな要因のひとつであったことも間違いないでしょう。しかし、ファミコン大成功の最も大きな要因は、開発者に宮本茂がいたことと、『スーパーマリオ』が開発されたこと、この2つに尽きます。
『スーパーマリオ』の凄さは、今の若い人には説明するのはすごく難しいのですが、ボタン数が今のゲーム機の半分にも満たないデジタルのコントローラーで、超アナログなプレイ感覚を実現したところです。詳しく書き始めると記事1本になっちゃうので割愛しますが、とにかくとんでもないゲームだったのですよ。
そしてそれを創り上げてしまったのが宮本茂で、あんなゲームが創れてしまう人なら、そりゃドンキーコングやゼルダやスターフォックスやピクミンやら何でもできちゃうでしょ、ってなもんです。詳しく書き始めると記事1本になっちゃうので割愛しますが、とにかくとんでもないクリエイタームだったのですよ。
嘘を嘘と見抜けない人に……
「嘘を嘘と見抜けない人に掲示板の利用は難しい」という言葉を発したのは他ならぬひろゆきですが、今回の一連の発言では、何から何まで間違っているのが実に面白いですね。
間違った情報であってもひろゆきのように、何の迷いもなく自信満々で立て板に水のごとく語られると、誰もが信じてしまうでしょう。
ハッキリ言って、こんなレトロゲームの情報が合ってようが間違ってようが、社会で困ることなど何もないのですが、中には間違っていたら困る情報だってたくさんあるわけですよね。
という訳で皆さん、リテラシーは大切ですよ。
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