先日、『政治家が言葉で説明できないことをやってはいけない理由』というタイトルでブログ記事を書いた。その主旨そのものは、私が長年言い続けてきた、政治における(政治家にとっても有権者にとっても)言論がいかに重要なものかをまとめたもので、あくまで一般論だ。いつかは書こうと思ってずっと書け(か)ずにいたのだが、このタイミングで投稿したのは、その後の個別論の前提として非常に重要になるからだ。
以下の内容を読む前に、まずはこれを読んで頂きたい。
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読んだ?
では、その「物差し」を目下の維新副首都構想・大阪都構想の騒動に当てはめてみよう。相当前からのおさらいも含まれるが、過去に書いたものについては簡略化する。
「3回目の都構想はやらない」という大ウソ
もはや書き飽きているが、維新(吉村氏)の言論規律を象徴する事象なので何度でも説明する必要がある。
「大ウソ」と言うのは本来アンチが使う表現であって、本当なら「前言撤回」である。ところが、(私が何度も言っているように)吉村氏は「前言撤回」などしていないのだ。テレビでアナウンサーに「3度目をやる際にはゴメンナサイするんですか?」と問われて「ですのでそこは民主的プロセスを経てですね…」と返答する。そもそも質問に対する答えになっていないが、これをそのまま受け取るとするなら、大阪府民は吉村氏の「虚言の浄化」のために28億円もの血税を奪われたことになる。
面白いのは維新支持者の振る舞いだ。吉村氏の突発的出直し選挙に伴う維新市議団の反発に、「何が『市民の民意』じゃコラ!維新と言えば都構想!これが当たり前やんけドアホ!」とこのような調子で猛批判したのである。
この様子を見て、義務教育レベルの教養を持つ人なら疑問を持つはずである。
「じゃあ、吉村さんは何について民意を問うたの?」
そう、維新が都構想を目指すのは確認するまでもない大前提であるなら、吉村氏だって出直し選挙などする必要がなかったのだ。ところが、出直し選挙をしなければならない2つの事情がある。
そもそもなぜ「3回目はやらない」などと言った?
維新信者vsアンチ維新という対立の構図の中では出てこない、でも当たり前の疑問がこれである。「なぜ3回目はやらない」なんてわざわざ宣言する必要があったの?
そんなことを言う必要は全くなかったのである!
ではなぜ言ったのかと言えば、吉村氏がその時「これを言うのがカッコイイ」と思ってしまったからだろう。嗚呼、28億円。
本来、「3回目はどうするのか」とメディアに聞かれても、
「今はとにかく、今日のこの結果を受け入れる、それだけです。今日の住民投票は現時点での民意が明確になったという大きな意義があると思います。我々はそれを踏まえてこれからの大阪行政に邁進する。ただ、維新の党是は統治機構改革なので、その必要性はこれからも訴えていくことになりますが、3回目がいつなのか、そもそも3回目をやるべきかどうかなど今判断できるはずもありません」
とでも答えておけばよかったのだ。だが、吉村氏は、聞かれるとその場に落ちているテキトーな言葉を拾って投げ返すという重篤な持病を持っているため、後先考えずに不用意なことを言ってしまうのである。
吉村氏のトロフィー獲得
これは先のブログに書いているので詳細は割愛するが、吉村氏のトロフィー獲得のプランで言えば、「都構想については現任期内で結論を出す」しかなかった。成立したらそのトロフィーを引っ提げて、否決されたらされたでどの道4回目はないのでとっとと国政に出て大臣就任というトロフィーに向かうのが合理的だ。要するに個人的野心である。
維新大阪市議団の【説明できない】振る舞い
さて、吉村知事・横山市長の異常行動によって維新は完全に分裂したわけだが、当初は勢いよく、全会一致で反対に回った維新市議団もなんだかんだんで容認することになった。まあ、予想通りだ。最初は勇ましいことを言うが、一斉離党するような気概もなく、なし崩し的にグダグダな落としどころに落ちていくのである。
その「落としどころ」がタウンミーティングで「大阪市民の民意を確認」したことにした後、吉村氏に「次の知事選に出ることを条件に法定協設置に賛成する」というディールを仕掛けたのである。吉村氏はトロフィー獲得プランが狂ってしまうので内心はらわたが煮えくり返っていたかもしれないが、情勢的にはとてもこれ以上の強行ができるはずもなく、「だったら今期中の住民投票実施決定を条件に」というディール返しで、合意した。
さて。改めて疑問を呈するが、「民意を得ていない」ことを理由に反対していた維新市議団は、有権者のせいぜい0.1%程度しか参加していないタウンミーティングのアンケートで「民意を確認できた」ことにして良いのか?
であるなら、ますます吉村・横山両氏の高額の税金を費やしたダブル選挙の大義がなくなるということになるぞ?
本来、市議団の態度は正しかった
吉村氏が大阪ダブル出直し選挙を表明したその日、維新国会議員団と維新大阪市議団はそれぞれ緊急会議を開き、この件での賛否について採決を行った。前者では賛成がたったの4票で圧倒的反対、後者では全会一致で反対という結果になった。
そして、皆が見落としがちな事実なのだが、実は維新大阪府議団は決議どころか、会議さえ開いていないのである。そしてなんとな~く、ふんわ~りと、いつの間にか賛成ということになっている。これはどうしたことか。
吉村氏のやり方に反対する人がたまたま国会議員と市議になり、賛成する人がたまたま府議になったのか?もちろんそんなわけがない。
市議は当事者中の当事者であり、市長が勝手に出直し選挙をして「民意を得た」としても、市議は同様の手続きを踏んでいない限り「民意を得ていない」状態なのだから、反対するに決まっている。国会議員は当事者性は薄いが、地方よりもグローバルな目線で観察しているのだろう。他者の不意打ち辞職を強く批判しておきながら、我が党のトップがそれ以上の不道徳を犯す、あるいは何の準備もなくトップの独断で突然3度目の都構想をやるなんてことに賛成する方がおかしい。
皆が見落としている維新府議団の態度
では、府議団は?
維新府議団にとって吉村氏は直属の上司にも相当する。そして都構想においては、権限が増える側なので、市と違って、府民からの反発も薄い。黙って下を向いて嵐が収まるのを待っていれば身分が守られるのだ。つまり、お前らたまたま府議やってるだけであって、もし市議や国会議員なら態度を変えていただろう!ということだ。
仮に本気で賛成していたとしても、統治機構の3層のうち、「国」と「市」の政治家がこれほど反発している中、なぜ黙っていられるのだ?賛成なら賛成で、自分たちも直ちに会議を開いて決議を採り、堂々と賛成である理由を言えば良いではないか。
国会議員団も国会議員団で、突発的ダブル選挙には反対したくせに、「住民投票の府域への拡大」というとんでもない不道徳に関しては何も言わない。結局、なし崩しの流れに身を任せるだけで、道理などどうでも良いということだろう。
このことから分かるのは、維新は決して政治理念を共有する集団ではなく、その立場や状況によって態度を変える(特に、逃げる)卑怯者の集まりだと言うことだ。
今の維新の、どこを見渡しても正しい人間がいないのである。
この、「維新と説明責任」についての話は、まだほんの序章である。
つづく。



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