一律消費税減税だと金持ち優遇になる?
「食料品以外を減税すると、贅沢品が買いやすくなり、金持ち優遇になる」と言うのは食料品消費税減税の正当性を説明する根拠としてよく聞かれる。吉村代表も明確に言っている。
しかしながら、その根拠は、食料品消費税減税以上に現金給付の正当性を説明することになってしまう。食料品の減税は、貧乏人が買うグラム28円の鶏レバーにかかる税金を下げるが、全く同じ税率で金持ちが買うグラム4000円の高級和牛やグラム2万円のキャビアの税金も下げることになる。
また、食料品の消費税を(実質)ゼロにしたところで、家庭の蛇口から出る水道水にも赤ちゃんのおむつやおしり拭きにも2足100円の靴下にも10%はかかったままだ。
収入を基準に現金給付すればこのような税制の歪を緩和することがあったとしても、副作用は一切発生しない。
どうも「給付付き税額控除」は、「税額控除」を抜きにしてただの「レギュラー給付制度」≒「負の所得税」になりそうな気配だが、だとしたらそのつなぎとしては、いよいよ「食料品消費税減税」などというやり方の正当性はなくなる。「とりあえずカッチリ制度化できるまで、【マニュアルで】給付しますよ」をやれば良いだけである。
ではなぜ現金給付をしない?
そりゃ答えはひとつ。「看板が魅力的」以外に考えられない。
「現金給付」は言葉の響きが悪く、「バラマキだ!」と批判されやすい。
だが、高市総理や維新が芯のある政治家であれば、それでも説明はできるだろう。「これは選挙前のばらまきではなく、給付付き税額控除制度化までの助走です!」と。
ところが、高市・維新連合は極度のポピュリズム政党であり、両者ともに理念がないので、「食料品のみ消費税ゼロ(減税)」という情弱国民の鼓膜に響きやすいこの看板を使いたくてしょうがないのである。
維新・吉村代表が「おこめ券」なんかが大好きなのもその表れと見て良いだろう。
https://x.com/hiroyoshimura/status/1996858468121366635
このポストで吉村氏は「電子クーポンなので手数料はゼロだ」と主張するが大嘘だ。クーポンを電子化することによって事務コストが半分程度にまで抑えられるのは間違いないだろう。だが、現金給付ならもっと抑えられるし、相当額を自治体に配って、それこそかつて大阪市がやっていたように、水道料金徴収ルートを使って還元すれば、その手数料はほぼゼロになる。
そして吉村氏は、「郵送料はかからなくてもシステム運営にはコストがかかるだろ」という指摘には「奥義・見なかったことにする」を発動する。
「行政をスリム化する」というかつての維新はもう滅び、いまや「見出し行政」を推進する政党になってしまったわけだ。
「バラマキ」回避の先にある「バラマキ」
ではその「バラマキ」を回避した先に何があるだろうか。
まずは減税しきれない1%の「現金給付」がある。
次に、同じ食料品を扱うのに食材小売りやテイクアウトに競争力で不利になる純・飲食店に手当てが想定されている。
そして、これまで消費税を「預かり」はしたが納付する義務のなかった、売上規模の小さいインボイス未登録農家は、益税がなくなる(消費者から消費税を取れなくなる)分も手当てがあるらしい。
また、レジ改修のための補助金も出るとのことだ。
おわかり頂けただろうか………
高市・維新連合政権は、素直に「一律8%に減税」または「国民への直接給付」さえやっておけば生じなかった現金給付・補助金を作ってしまっているのだ。国民へのバラマキを回避して、得体の知れないバラマキが発生することになるのである。
それだけではない。この歪な税制修正は行政の無駄を生み、結果的に国民の負担を増やすことになる。詳細は後ほど。
クリアされていない財源問題
食料品消費税減税に対し、自民党内でも明確に反対する勢力が出てきた。河野太郎氏など大臣経験のある重鎮が含まれていることは大きい。私も「反対」には賛成だ。
しかしながら、その反対する根拠はしっかり詰めていく必要がある。
反対派は「財源が確保できていない」ことを理由に挙げる。全くもってごもっともなお話で、財源という最も重要な問題をおざなりにして、ここまで勢いだけで話を進めてきた高市・維新連合は幼稚という他ない。
【政治力のある政治家】なら、予め設計の主要な柱である財源問題などクリアした上で主張すべきであろうが、それをやっていないのだからお粗末も良いところである。もしそれをやりたくないのなら、
「いや、実質的に官僚が決めているような予算に従う必要はない。道理に従って国民に還元した結果、歳入が減ったとしても、その減った分から予算編成をすれば良いだけである。今までその姿勢から逃げてきた結果、日本経済は成長しないまま国民負担率が際限なく上がっていくのをただ眺めているだけの状態になっているのではないか!」
という政治理念の主張が必要になる。だが、そんな主張があったか?高市総理も維新もここはボヤかしたままで、非常に弱いのだ。まあ、そんな強い政治主張ができる政権なら、そもそも食料品だけ減税なんてバカなことはやらないだろうが。主張が弱くなるのは、経済学の学術的基盤がフニャフニャだからだろう。
話を「反対派側」に戻すと、その根拠も財源だけではなく、先述のように、そもそもこのやり方は本当に減税になるのか?という点を指摘するべきだ。

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