チャゲアス「解散」じゃなくて「脱退」!?
実は私、相当なASKAファンでして、例の不祥事のことを中心にASKAのことについて書こう書こうと思いながらも、なかなか手がつけられず、結局デビュー記念日である昨日の「ASKA、“チャゲアスから脱退”」の報を知るに至ります。
「CHAGE AND ASKAから脱退」とはどういう意味の表現かと言うと、「やりたいなら勝手にやれ」というチャゲへのメッセージってことですね、多分。2人で決めたなら「解散」であって、「脱退」は自分1人で決断したということになります。さらに、ASKA曰くのチャゲアスの内情は、チャゲの周りにいろんな大人達がいて、チャゲアスをコントロールしようとしているらしいと。だったらそいつらで「チャゲアス」をやりゃあいいじゃねーか、というニュアンスなんでしょう。何にせよ、相当ネガティブな感情が含まれた表現です。
これ最初聞いた時は「そういった内情は隠すべきであって、ファンに余計な推察をさせるべきではない」とも思いましたが、最近のASKAは、特に例の不祥事以降、そのメッセージは常にコアなファンに向けられてるようで、だとしたらまあこれもアリかと今では思います。この辺、ASKA本人も言ってるように、相手側の言い分も聞いて公正に判断すべきなんですが、私の元々の価値観から言うと「そもそもそんな判断も要らない」なんですよね。
CHAGE AND ASKAとはASKAのことである
こういうことを言うから、チャゲアスファンからもなかなか共感が得られないんですが、私にとってチャゲアスはASKAなんです。パワーバランスは、7:3どころか、9.5:0.5くらいでしょうか。
別にチャゲが嫌いだとか、無能だとか、そういう風に思っている訳ではありません。ASKAが天才であって、その他の歌手のほとんどは凡人であり、「ASKA以外」でしかないのですよ。チャゲはあくまでその一人でたまたまASKAと組んだだけなのです。
当然愛着はありますよ。あの声によるハーモニーを聴き続けていたんですから、耳にはめちゃくちゃ馴染んでいます。でもそれはあくまで「愛着」であって、ASKAの普遍的な価値とはちょっと次元の違うものです。
チャゲアスファンがやたらとチャゲを褒めるのも、実際は「坊主好きなら袈裟まで大好き」の心理が働いている場合が多いからだと思います。自分だってその一人ではあるんですが、こうやって公に向かって書く際はできるだけそういうバイアスは除去するよう心掛けています。
ASKAは歌ってくれさえすれば良い
そういうASKA観を持っている私からすると、ドラッグ事件であろうと、今回の「脱退」であろうと、その内情や経緯を想像することに大した意味はありません。天才の考えることを私のような凡人があれこれ推察しても仕方のないことで、それが常識的におかしなことであっても、「でも天才じゃん」で済まされてしまうことなんです。
どうでも良いから、歌を書いて、歌ってほしい。
それだけなんですよ。
ASKAはここが凄い
作詞・作曲・歌唱力、全てにおいてです。「どれを取っても日本一だ」なんてアホみたいなランク付けはしませんけどね。
例えば歌詞については、私はASKAの楽曲ほど歌詞カードを何度も読んだことはありません。谷川俊太郎の大ファンで井上陽水のコピーをしてたような人ってだけでも、まあ普通の歌詞は書かないだろうと思いますが、ASKA独特の表現~非常に難解な場合も多い~が素晴らしいのですよ。
作曲については、例えばデビュー2曲目の『流恋情歌』が全く売れなかったのにキレて、ヒットを狙って書いた『万里の河』で実際にヒットさせるとか、『SAY YES』が爆発的に売れてASKAのねばっこい歌い方のイメージが固定されたと思ったら、次のシングルがバリバリのロックである『僕はこの瞳で嘘をつく』だったりとか、この流れ最高ですよ。
えっと……詳しくは別に記事を書きますので、このへんで。
チャゲがチャゲアスで得したトコ損したトコ
チャゲがASKAと組んで(どうでもいいけど、チャゲはカタカナ、ASKAはアルファベットで書いてますね、私)物凄く得したことは間違いありません。自分が書いてもいない曲で、ハーモニーやってるだけで、「ダブルミリオンを2回達成した唯一のアーティスト」になっちゃったんですから。売れた曲の歌唱印税はもちろん、ライブの報酬、アルバム収録の自身製作曲の印税など、ASKAと組んだからこそとんでもない収入を得ることができたわけですよ。
一方で、一アーティストとしての評価も実力に見合ったものではなかったかもしれません。私主観であれば、アルバムを聴いていて途中にチャゲの楽曲が始まると、それは自動的に「ASKAとの比較」になってしまいます。詞・曲・歌唱力、どれを取ってもASKAに敵う訳がないのです。これをチャゲ単品で聴いてたらそんなこともなかったのでしょうが、チャゲアスとして一括りにされ、同じアルバムに収録されてしまっているので、どうしてもASKAと比較することになってしまうのです。
客観的に聴いてみたら割と良い曲もあるんですよ。ところが、「ASKAならもっとかっこよく歌う」「ASKAならメロディーにもう一ひねり入れる」とか、脳内でノイズ作っちゃって、なかなか普通に聴けなかったりするわけです。
せめて、シングル曲では潔くメインボーカルを諦めていたら、実はもうちょっと評価の高いアーティストになっていた可能性もあるんじゃないかと。例えば『COUNT DOWN』という曲があるんですが、これチャゲが歌うべき曲調じゃないんですよね。チャゲの声はとにかく軽くて質量がない。透き通った軽い声でロックを歌うほど情けないものはないのに、それをやっちゃってて、曲そのものが陳腐に聴こえてしまうんですよ。ASKAが歌ってりゃイメージがガラッと変わるはずです。
この動画は『COUNT DOWN』と同じくらいの時期の……おっと、出直します。
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